FAQ 3 広報業務をゼロから立ち上げるには?

 私は現在、サービス業の会社にて広報を担当しております。社会人としては 6年目ですが、広報関連部署の経験は全くありません。そのため、広報の基本的な活動方法などを知らないまま業務にあたっています。
 また営業統括部門内での兼務のため、広報の仕事のみに注力ができず、ニュースリリースも2ヶ月に1本程度で、ほとんど取材依頼のあったものに関する対応のみをしています。
 この程度の広報経験で事実上の部署の立ち上げができるか不安です。広報担当として、最低限しておくべき広報活動というのをご教示ください。

●ANSWER

 私が、以前の勤め先で広報業務を立ち上げたときも、2ヶ月に1本程度のニュースリリースを出すのが精一杯でした。どうやってリリースの数を増やそうか、といろいろ悩んだことを覚えています。

 広報業務の基本はニュースリリースの発信から始まります。しかし、外部に情報発信をするためには、社内から情報を切り出して来なければなりません。まず、その体制を整えることが必要でしょう。

 経営層の方々が、情報発信に理解があるようならば、積極的に情報を広報担当者に流してくださるようにお願いすることから始めます。経営層の理解が得られれば、会社全体の理解が得られ、情報はどんどん集まるようになってきますが、普通は十分理解が得られない状態から出発することになりますので、そのように仮定して話を始めましょう。

1.クリッピング:
 毎朝、新聞記事をチェックして自社や業界の関連 記事をクリッピングし、コピーして経営層に配布する作業です。他にも ほしいという部署があったら、送ってあげてください。この仕事の真の目的は、単なる経営層へのサービスではなくて、リリースや取材というかたちで発信した会社の情報が、どのくらい社会へインパクトを与えたのか、それが会社にどんな影響をもたらすのかを把握する作業の一部です。

 新聞などの媒体に自社の記事が掲載されると、悪い記事は別として、経営層のプライドをくすぐります。それが、さらに情報を開示しようという動機となります。ですから、クリッピングは広報にとって大切な仕事なのです。

 なお、このクリッピングは著作権の問題にかかわりますので、事前に(社)日本複写権センターなどに相談されることをお勧めします。

2.社内取材:
 社内のいろいろの部署を訪問して、社外に発信することで、会社の業務にプラスになる情報はないか取材する必要があります。

 当然のことながら、社内の人たちは自分にプラスにならない情報は出したがりません。広報の手引き書などを読むと、会社に不利な情報もどんどん出すべし、などと書いてありますが、初めはそのような理想を追う必要はありません。会社の利益になりそうな情報だけでもせっせと探します。この作業には広報担当者のジャーナリスティックなセンスが要求されますが、経験を積むうちに養われて来ますので、ご心配なく。

 記事が出ることによって、自社の新しい製品やサービスが認知され、ビジネスにプラスに働いたという事例が積み重なれば、社内から情報は自ずと集まって来るようになります。

 まず、ここまでを徹底してやってみてはいかがでしょうか。これがよい循環になって行けば、リリースの数は自然に増えて行きます。そうなると、「広報の専任者をおかなければ、とてもやって行けない」ということになるでしょう。

 また、兼務している間は、兼務のメリットを活かして情報集めをすることを考えてみましょう。

 営業統括部門にいるなら、新製品や営業関係の情報なら、それほど労力をかけずに集めることができるでしょう。

 広報担当者にとって最も大切なことは、社内からの信頼です。広報に話すと、社外秘がどんどん流失してしまう、などと誤解をされたら情報は全く入って来ません。企業目的と広報活動が合致していることを認められるようになれば、いずれトップから企業秘密(将来発表されるだろう情報)を明かされるようにもなるでしょう。

 社内から十分に情報が集められないときは、広報担当者が情報をつくってしまう、という手もあります。と言っても、でっち上げるわけではありません。近頃、たばこを吸う人の何%が禁煙をしたことがある、といった記事を新聞で見かけることがあるでしょう。あれは禁煙ガムや禁煙パッチを発売しようとしていた製薬会社が、調査結果を報道機関に発表する目的で調べたものです。これを「パブ調査」(パブリシティ用の調査)と呼んでいます。このような調査がある程度の予算が必要ですが、工夫次第でやり方はいくらでもあると思います。