FAQ 7 広報の仕事につくには?

 私は将来広報の仕事につきたいと思っています。専門的な学校で知識を習得した方がよいでしょうか。それから、広報誌などを制作するにあたり、DTPの資格など必要でしょうか。

 ●ANSWER

 ご存じのように一般の大手日本企業では新卒者を定期採用して、入社後に配属先を決定します。どのように決定するのかと人事担当者に尋ねると、たいてい「本人の適性と希望による」という答えが返ってきます。しかし、採用から入社までの短期間に真の適性を見定めることなど事実上不可能です。専攻やゼミなどの属性、適性試験の結果(この人は広報向きというような明確な結果が出るわけではありません)、本人の印象などから人事担当者が長年のカンで決めているのが実情ではないでしょうか。大学でマスコミ研究会に所属していたといったクラブでの活動歴もほとんど考慮されません。

 では、どの学部出身なら広報に配属されるのでしょうか。現在、広報とかコミュニケーションといった名称の学科を持つ大学がいくつか存在します。しかし、これらの専攻を修めた人が一般企業の広報担当者になる確率はいまのところ高いとは言えません。日本の企業では「入社した社員が、広報でしか使い物にならなくなっては困る」という意識が強いので、広報関連学科の出身でも営業などへ配属されるのは当然と考えた方がよいでしょう。

 逆に広報部門の方でも「別に広報専攻でなくてもいいよ」とか「かえって広報専攻でない方 がいい」といった認識を持っている場合があります。

 ということは、逆にどの学部の出身者でも広報担当者になれる可能性があるということです。実際に広報の第一線で活躍されている方々の出身学部はさまざまです。これからは、技術に対する理解力が求められるケースが増えますから、理系出身者も多くなるでしょう。

 それでは本人の希望はどのくらい配慮されるのでしょうか。人事担当者というのはなかなか意地悪で、なかなか希望通りでは異動させてくれません。それにはいくつかの理由があります。たまたまその企業の広報部門に増員や新人社員受け入れの計画がなかったということがあります。あってもごく少数という場合が多いでしょう。BtoCの大企業はともかく、一部上場企業でも広報担当者数は数人というところが多いので受け入れられる絶対数が少ないのです。また前述のように、広報専攻だからこそ他の部門の 経験を積ませようという人事的配慮も働きます。

 一般の日本企業で広報担当者になるには、強運が必要かもしれません。たいていの人は、入社してしまうと環境に順応して初心を忘れがちですが、その後も広報の勉強を続けて、それをうまく会社にアピールし続ければ、異動によって道が開ける可能性は大いにあります。でもへたに強くアピールしすぎると、かえって現在の所属部門での評価が下がり、広報部門にも断られるといったことになりかねません。まったく人事というのは本人の希望通りにはなりにくいものです。

 外資系企業は少し事情が異なります。欧米的な運営をしている外資系企業では、広報担当者は広報のスペシャリストとして募集することがあります。ここが狙い目です。大学の就職部経由の情報の他に、新聞や就職情報誌などを細かくチェックした方がよいでしょう。ここでは広報学科専攻者は多少有利かもしれませ ん。後述するPR会社を経験してから中途募集に応募すると確率が高まりそうです。

 さらに重要なのが英語力です。広報の仕事は企業のトップと綿密な意志の疎通ができなければ仕事になりません。外国人トップとのコミュニケーションの手段として英語は必須です。外資系企業で、社長秘書から広報担当者に転身するキャリアウーマンが多いのはそのためでしょう。英語ができて広報の基礎知識や経験を持つ人材ならほしい、という外資企業はあるはずです。

 PR会社の多くは失礼ながら零細企業です。社員 100人なら大会社です。小規模なPR会社では定期採用は少ないでしょう。新聞や就職情報誌に募集広告をたまに見かけますが、経験者の中途採用が多いようです。新卒の場合、クライアント側からの「紹介」といった形の縁故も多いのではないかと想像できます。また、PR会社幹部と大学教授との人間関係からの採用というケースもあり得ます。実態はよく知りませんが、学校で広報を専攻した人は多少有利かもしれません。人材を自社で育てる余裕のないPR会社は即戦力を求めるからです。

 縁故もなにもない場合は、個別にPR会社にコンタクトしてみてはいかがでしょうか。PR会社のホームページに採用の条件などが掲載されています。PR会社の一覧表は、日本パブリックリレーションズ協会発行の「PR手帳」に掲載されています。東京などの一部の大手書店でも販売されています。

 PR会社に就職すると、クライアントへの営業担当、新聞・雑誌・テレビなどの記者・編集部・プロダクションなどとの交渉にあたる媒体担当、記者会見・トレードショー・展示会・催し物などのイベント担当(この仕事が意外に多い)、映像担当、調査担当、それに総務・経理といった仕事に配属されます。小さなPR会社ではこれらの一部の業務に特化しているところもありますし、TV番組の企画といった特殊な領域で業績を挙げている会社もあります。また実務よりコンサルタンティング中心の事務所もあります。アニュアルレポートのような英語印刷物を得意とする会社もあります。それぞれ個性的です。

 外国むけのPRが得意な会社や、外資系企業をクライアントに持つ会社では、前述の外資系企業の場合と同様、英語力がポイントとなるでしょう。

 外資系企業の広報部門には、実はPR会社の出身者が多いのです。PRの実務を経験して、なおかつ英語力があれば道は開かれています。

 広報誌の編集をするためにDTPの知識はあるにこしたことはありませんが、必須ではないでしょう。実際には、レイアウトは専門家(デザイナー等)に任せているケースが多いからです。その方面の専門家になるのがご希望なら、グラフィックデザインの勉強をなさることをお薦めします。

 広報誌の担当に必要なのは、企画力、文章力(論理的に伝達する力)、取材力(好奇心、 積極性、社交性等)、幅広い教養などでしょう。