『一瞬の風になれ』

ちょっと古い話ですが、昨年の北京オリンピックでは、陸上4継(4×100mリレー)で36歳になる朝原選手率いるチームが、トラック競技として日本男子に初のメダルをもたらしました。選手たちの喜びが爆風となってTVの画面から吹き出してきたあの瞬間を思い出します。

でも、正直いえば、リレーなんて中学校の運動会位しか経験のない私の脳裏にちらっと浮かんでしまったのは、米国など強豪2チームがバトンパスで失敗しなかったら、日本のメダルはなかったのかな〜ということでした。
この銅メダル獲得のニュースが流れたあと、「一瞬の風になれ」という小説が話題になったのをご存知でしょうか。高校陸部の100mスプリントの選手 を主人公にした小説です。最近、この小説を見かけて、ぱらぱらと読み始めたら、これが実に面白い。通勤電車の中はもちろん、乗換えのエスカレータや階段で も目を離せず、危うく階段を転げ落ちるところでした。
高校に入学した主人公が夢をみて、挫折して、淡い恋をして、人間関係に悩にながらも人間的に成長していく様子を心理描写を通して緻密に描いていま す。読んでいると、私までジャージ姿になって、その中に入り込み、一緒に遠征のバスにも乗り込んでしまうのです。 (あの〜ですね、想像するのはやめてくださいませ。)
とにかく、部活に熱中する高校生たちも、コーチもライバルも実に個性豊かで魅力的なのです。そして、なによりこの小説は陸上の100m、4継の何たるかを教えてくれます。
先のオリンピックの話に戻ると、世界の100mスプリントが9.6秒台に突入した今でも、日本に9秒台で走る選手はいないのだそうです。400mト ラックを4人で走る4継は足の早い選手が集まったチームが早いに決まってます。でも早い選手だけをそろえて走れば一位になれるかというとそうではないとこ ろが面白い。アンカーで走った朝原選手は和製カール・ルイスと呼ばれ、カール・ルイス並みのスタートダッシュなので、かつての三走の選手はバトンパスで彼 に追いつけないのではないかと思うほどだったそうです。4人が全速力で走り、尚かつ、つまりもせず、絶妙なタイミングでバトンをつなぐ。お互いを信頼しきっ て、一瞬の迷いもなく、バトンパスを成功させたチームだけがメダルを手にすることができるということです。
やはり、北京オリンピックでの4継の銅メダルは凄かった!あの4継の4人が日の丸を広げ、思い切りいい顔している写真をみて、改めて感動してしまいました。青春時代にタイムスリップしたい方、「一瞬の風になれ(3巻)」をお試しあれ。くれぐれも階段での読書にはお気をつけあそばせ! -araki-

「一瞬の風になれ」(講談社:佐藤多佳子 2006年 全3巻)

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