2017年9月19日

(222)「色覚多様性」、さらに「少数色覚」は

 日本遺伝学会が、長年使ってきた遺伝用語の「優性」「劣性」を言い換える、との報道がありました。最初が9月7日付け『朝日新聞』の瀬川茂子編集委員の記事です。それによると、同学会は9月に一般向け用語集を出版します。メンデルの遺伝学の訳語として使われてきた「優性」「劣性」は、遺伝子の特徴の現れやすさを示す表現なのに、優れている、劣っていると誤解されやすい語感があり、「劣性遺伝病」と診断された人はマイナスイメージを抱き、不安になりがちです。このため「優性」は「顕性」に、「劣性」は「潜性」に言い換えます。これを含めて100ぐらいの用語変更を提案し、文部科学省にも教科書の記述も変更するよう要望書を出す方針だ、というのです。
 この用語変更のなかに「色覚異常」や「色盲」を、「色覚多様性」とすることが含まれています。眼科医、高柳泰世先生は1996年に朝日新聞社から『つくられた障害「色盲」』を出版しましたが、その中ですでに「呼称を変えよう」と呼びかけています。高柳先生は今回の遺伝学会の動きを知り、それがようやくかなった、という喜びのメールを送ってくれました。
 同学会の用語集は『遺伝単~遺伝用語集 対訳集つき』です。ただし、色覚多様性は色覚異常や色盲の直訳とまではいわず、概念としています。眼科医が「君は色弱があるね」という代わりに「君は色覚多様性があるね」といってよいかのかも知れませんが、漠然としすぎている感じもします。やはり色覚はいくつかのパターンがある、との意味での多様性ではないでしょうか。
日本人では5%ほどの人たちが異なる色覚を持っています。通常の配色では見にくい場合があります。色覚多様性では違いがあることを認めても、そうした少数の人たちへの配慮の必要性は浮かびません。
 私は「少数色覚」が単純で分かりやすいかな、と思います。子ども向けにマンガ中心で色覚を解説した『はじめて色覚にであう本』 (色覚学習カラーメイト・17年3月刊) は、多くの人と異なる色覚の人をすでに「少数色覚」と表現しています。