2017年10月10日

(225)医療者の働き、どう変えるのか

 先週末は神戸市で開かれた市民講演会に出かけてきました。「神戸発100歳現役社会を生きるアジェンダ」と題した公益財団法人・先端医療振興財団主催の市民向け医療シンポジウムです。財団の臨床研究センター設立15周年の行事でもあります。同センターが支援してきた鼓膜再生治療、自分の骨髄幹細胞での脊髄損傷治療など、臨床研究のいくつかが近く実用化することの報告です。日本のお医者さんや研究者はアイデアがあっても、手続きに明るくなく、資金不足もあり、研究を続けて国や外国の承認を得るのが困難でした。助言し、励まし、援助してきたのがセンターです。福島雅典センター長は「世界に先駆けて神戸で実用化できた」と感動で声をつまらせていました。
 帰り道の名古屋市で10月9日、全国保険医団体連合会 (保団連) の医療研究フォーラムが開かれており、「医療従事者の働き方はこれで良いのか?」のシンポジウムを聞きました。労働経済ジャーナリストの小林美希さんは看護師、介護者、医師の女性への負担が医療の質の低下を招いていると警告しました。増える夜勤、2交代勤務で半数以上の看護師は「辞めたい」と思い、毎年1割が辞めています。30歳前後の出産希望者の退職で技術継承ができず、夜間の人手不足も常態化しています。また超長時間労働に家事・育児負担が加わり、女性医師は男性以上に疲弊しがちです。
 斉藤みち子・保団連副会長は2015年の女性医師・歯科医師調査で、産後8週間就業禁止の労働基準法規定に75%が違反して早く働いていたこと、3割が産前休暇ゼロだったことを報告しました。続いて開業医、勤務医、看護・介護職場のよりくわしい働き方の実態が報告されました。
 私はたまたま前々回のこのコラムで、医療崩壊をくい止めるために、保団連が診療報酬の大幅な引き上げを訴えていることを紹介しました。小林さんは医療従事者の超長時間労働の大きな原因が診療報酬にあることも指摘、すでに何冊もの著書で実態をルポし、改善を訴えています。
 それなのに、どうして厚生労働省や医療界の幹部、選挙で忙しくなった議員の方々は医療費の削減をしたがるのでしょうか。