2017年10月30日

(228)病気腎移植、先端医療に認める

 徳洲会病院グループが実施していた病気腎移植が10月19日の厚生労働省先進医療技術審査部会で条件付きながら先進医療として認められた、とのニュースがありました。日本移植学会などが反対し、ずいぶん長く棚上げされてきましたが、先進医療になれば一歩前進といえます。
 病気腎移植が話題になったのは2006年11月ですから11年も昔です。がんなどの患者の腎臓を摘出した時に、患者が病巣部を除いた腎臓を再び戻すのを嫌がったり、戻さなくていいという場合があります。とくに大きながんの場合、取り残したわずかながんが再び大きくなる可能性があると考えられたからです。宇和島徳洲会病院泌尿器科の万波誠医師らはしばしば、こうした腎臓を人工透析患者に移植していました。これに対し、日本移植学会は「使える腎臓なら患者に残し、使えない腎臓なら使うべきでない」「がんの危険」などと厳しく批判、私が在籍していた『朝日新聞』も社説で同調しました。
 私は移植が増えるし、患者双方が了解しているからいいんじゃないか、と担当の科学部記者に話すのですが、批判記事しか載りません。使える腎臓も実は大学病院は捨てていました。2007年5月、私が連載「ドキュメント医療危機」で病気腎移植を擁護してようやく『朝日』では批判がほとんどなくなりました。
 医療界はやっかみといじめの社会です。学会にも入っていない万波医師の腎臓移植数が日本で数番目。そのうえの新しい挑戦が許せなかったのでしょう。徳洲会病院は臨床研究として17件の移植を実施、国に正式の医療と認めてもらえるよう先進医療を申請していたものです。
 日本では腎臓移植は赤字ですが、人工透析は黒字。その結果、世界一透析率が高い国になっています。国の医療費はかかるし、週3日も拘束される患者は大変です。国はもっと移植に力を入れるべきではないのでしょうか。