2018年6月11日

(259)色覚差別にもっと理解を

 日本独特の色覚問題を国民に広く知ってもらおうとの公開フォーラム「脱・制度的色覚検査をめざして」が6月3日、東京で開かれました。主催したのは当事者の会である日本色覚差別撤廃の会です。荒伸直・会長と、会の顧問でもある名古屋市の開業眼科医、高柳泰世さんらの講演はとても感動的でした。
 荒さんは、色の見え方である色覚は個人差が大きく、日常生活ではほとんど支障がないのに眼科的検査が学校健診に導入されたことが、その後の差別を生んだことを指摘しました。学校保健法の改正で2003年から廃止されたのに、廃止に反対していた日本眼科医会の意向を受け、文部科学省の「希望者にはよい」との局長通知で14年からは実質的に復活しました。16年度では47都道府県のうち28がほとんどの市町村で実施し、15はある程度の市町村で実施するまでになっています。荒さんは「10年間の廃止期間中にどんな支障があったのだろうか」と疑問を呈しました。
 高柳さんは学校医として養護教諭から「色覚異常」生徒の進路相談を受けたことをきっかけに、大学入試や就職などでの色覚差別をなくすべきと活動してきました。一生変わらない色覚が健診項目にあり、しかも色の見え方と関係がない石原式検査表が使われている日本の誤りを強調しました。実際の見え方に近い検査をすべきです。緑の葉の中に咲く赤い花がどんな色に見えるかを多くの当事者に描いてもらったところ、コンピューターでの予測と違い、ほとんどは実際に近かったとのテスト結果も印象的でした。
 大学入試や就職での差別は現実に少なくなっています。残っている1つ消防職員は全国ではまだ半数が色覚検査をして採用しています。会の幹事が愛知県での調査結果を報告しました。理由は「信号機や機器の識別」「救急時の顔色確認」などですが、幹事は「半数の市町村が検査をしていないのは業務に支障がない証拠」と強調しました。
 不思議に聞こえるかも知れませんが、色覚検査で特別な規制をしてきた国は世界で日本だけ。それも石原式検査表という特殊な簡便検査での判断だから間違いに拍車がかかったわけです。もし臭覚、味覚、触覚、聴覚などの簡便検査があったらどうなったかな、と考えるとぞっとします。