2018年6月26日

(261)強制不妊手術の背後には

 年を取ってくると医師はいろんな検査を勧めます。その結果、次々…ではないものの、どこかに異常が見つかります。「今のうちに」と言われると、ついその気になってしまい…というわけで、先週は丸々入院してしまいました。
 退院したら講読紙は読めるので、病院では別の新聞を買います。『毎日新聞』が旧優生保護法による不妊手術を熱心に報じ続けているのに感動しました。第2次世界大戦後の1948年に遺伝性の病気や精神病の患者などが子どもを生めないよう都道府県が強制不妊手術を実施できるとの法律です。「連合国軍総司令部(GHQ)が根拠不明と疑問を呈したのに日本側が強行した」とのニュース(6月24日)、さらには資料から各都道府県の手術実態報告(6月25日)が4ページ特集になっていました。
 すぐ頭に浮かぶのはハンセン病患者です。明治末、1907年制定のらい予防法の流れから公立療養所に強制隔離されたうえ、遺伝しないのに遺伝病扱いされ、旧優生保護法での不妊手術も強制されることになりました。ハンセン病は感染力が弱く、ほとんどの国は強制隔離をしていません。第2次大戦後、世界保健機関(WHO)は2回か3回、強制隔離をやめるよう勧告したのですが、日本政府は聞きませんでした。
 日本にはハンセン病専門医の大御所がいました。国立療養所園長でもあった光田健輔医師で、強制隔離の必要性を説き、不妊手術を推進しました。隔離不要と指摘した京都大学の医師は学会から除名されました。
 『毎日』によると、旧優生保護法は議員立法でした。その中心は産婦人科医で、共同提案者10人のうち8人が医師議員だったというのですから驚きです。
 建前はともかく、日本の医師は内心、患者を見下しているのかも知れません。何日か前には日本精神科病院協会の会長が機関誌に「精神科医にも拳銃を持たせてくれ」との部下の精神科医の意見を肯定的に紹介したことが話題になりました。また先日、指摘したように、世界では必要とされていない、しかも不適切な色覚検査を復活させているのは眼科医の団体、日本眼科医会なのです。
 医師は何のため、誰のために医療をするのかが問われます。