2018年7月2日

(262)がん患者の放置、今さらながらも驚いた

 日本を代表するメーカーが法で定められた製品検査をしなかったり、結果をごまかしたりするインチキがまだ露顕中です。つい先日は日立化成の蓄電池にも飛び火しました。それを真似て、というわけではないでしょうが、医療現場でも、検査の結果が主治医に伝わらなかったり、主治医が無視したり、というケースが相次いでいます。おいおい、どうしたしっかりしてよ、と叫びたくなります。
 6月25日に発表したのは横浜市立大学病院でした。2012年以降分を調べたところ、同大病院と市民総合医療センターの2病院でCT検査などでがんが疑われたのに担当医が見落としたケースが11人もあったそうです。60代男性で、12年に心臓病治療で入院時にCT検査を受けた際、放射線科医が腎臓がんの疑いを指摘し、カルテに記載したのに見逃されました。別病院のCT検査でがんの疑いがあると、今年3月に同大病院に入院、12年のCT検査やカルテが浮上したものです。この患者は4月に亡くなりましたが、少なくとも他に2人は治療遅れにつながった可能性があります。
 画像診断を受け持つ放射線科と患者の主治医である診療科間の連携不足はどの病院でもありそうです。16年からだけでも、名古屋大、東京慈恵医大、千葉大、兵庫県立がんセンターなどで表沙汰になりました。それより驚いたのは今回の調査によると、昨年6月までの1年間で、横浜市大では主治医が画像診断の報告書を確認していなかったケースが何と568件もあったということです。異常が無かったからよいとしても、検査結果を確認できないほど医師が多忙なのは問題です。それとも、最初から検査の何%かは医療費稼ぎでしかなかった、ということでしょうか。
 とくに教授をトップとした古い権力構造を多少とも残している大学病院は、放射線科と診療科だけでなく、診療科間の連携も十分とは言えません。いまどき、自分が興味を持つ病気しか熱心に診ないという医師中心医療では困ります。
 慈恵医大では今年 4月から専門職員が画像診断結果を受け取ったことを主治医に確認のうえ患者にも渡す、という改善策に踏み切りました。患者から質問されるとなれば医師は見ざるを得ないのは確かです。