2018年8月20日

(269)残念ですね、院内感染

 鹿児島大学病院は今月初め、集団的な院内感染で入院患者8人が死亡したと発表しました。原因は多剤耐性アシネトバクターと呼ばれる細菌です。
 発表によると、アシネトバクターと類似菌による感染は2016年9月からで、計15人に達しました。うち14人は集中治療室(ICU)で治療を受けていました。アシネトバクターは土などにいるありふれた細菌ですが、抗生物質が効かない耐性菌が高齢者や免疫の落ちている患者に感染すると肺炎や敗血症などを起こして命にかかわります。
 通常の検査外の菌なので感染は気づきにくく、かなり広がってから気づくので大ニュースになりがちです。2010年に帝京大学病院 (46人感染 9人死亡) 、2009年にも福岡大学病院 (26人感染 4人死亡) などがありました。
 気になるのは今回、それに福岡大もICUでの感染と見られることです。ICUは手術直後など、とりわけ弱い患者を収容する場所です。マットレスに菌が残っており、機材の消毒不十分が指摘されています。
 病気を治すはずの病院での院内感染、死亡は問題です。見えない菌だけに対策は口でいうほど簡単ではないのですが、消毒も毎日となると雑になりがちです。死亡も日常的で医療者は慣れすぎています。患者の容態にもっと注意を払う必要があります。手遅れの救急患者、日ごとに弱っての自然死は仕方ないとしても、患者は原因がなくて簡単に死亡するはずがありません。何人死のうと医師が驚かない横浜市・大口病院事件など論外です。詰め込みで隣が近すぎる大部屋、ベッドでの食事、ベッド周囲や院内の衛生など、貧しい環境、菌検査も消毒も病院任せ、コストも無視する日本の医療の欠陥です。
 最近はニュースになっていませんが、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)の院内感染は減ったのでしょうか。死亡はアシネトバクターよりずっと多いはずです。年に何度かある医師や看護師が感染源になる結核に至っては、医療先進国としてとても恥ずかしい話です。