2018年10月9日

(275)まだまだ不十分な「癒しの環境」

 病院などの環境を良くしようという趣旨の「癒しの環境研究会」が10月6日、秋田市で開かれました。地方で開かれる大会は参加できないことも多いのですが、会員の皆さんとのやり取りもあり、今年は出かけることにしました。テーマは「アートと癒し」。秋田市で241床の外旭川病院 (現在は療養病床、ホスピス病床) を運営する医療法人惇慧会の穂積恒理事長が大会会長でした。
 穂積さんは医師なのに美術品収集家、美術館館長も務めるという美術に無茶苦茶に詳しい人で、癒しの環境研究会の副理事長です。1988 (昭和63)年の新築時には、設計段階からスペースを設け、病院内に壁画や彫刻を展示し始めました。また、1998 (平成10)年には全体がアートというホスピス病棟を開設しました。さらにはアートを地域に展開しようと秋田市内のホテルにフォーエバー現代美術館、昨年は京都に同美術館祇園京都を開きました。
 会長講演で穂積さんはグループの取り組み、アートへの思いを熱く語りました。それを受けて研究会の高柳和江理事長がアートと免疫について話しました。がん患者に好きな絵を選んでもらって鑑賞後に調べると、免疫細胞が低下した人が活性化した人より多かったという意外な結果が出ました。実は活性化した人の見た絵は自然系の明るい色の絵で、下がった人が選んだのはメッセージ性の強い心象風景の絵。亡くなった人や失われた過去などを思い出しやすかったようです。「病室には免疫が高まる絵をかけましょう」と高柳さんは呼びかけました。
 中秋の名月、紅葉など季節ごとに絵画作品を描く病院、祭りや農園作業を導入した介護施設など、会員による研究発表もありました。また、絵画や写真展、コンサート、生け花や庭園作業などいろんな「医療とアートの融合」を年中実践している岡山旭東病院などの報告にも感心しました。
 癒しの環境研究会は海外勤務を終えて帰国した高柳さんが、日本の病院の設備や環境の悪さに驚き、改善を訴えて1994年に発足させたものです。それから24年。平均的には以前より良くなったとは思いますが、患者側の目からはまだまだ不十分です。