2018年11月5日

(279)政府の障害者対策に疑念も

 政府がこんなことを、と驚かされた障害者雇用者数の水増し問題。詳細がいろんな形で明るみに出てくるにつれ、がっかりの連続です。8月に公表された再調査結果では、政府の33機関のうち27機関が法定雇用率に達していませんでした。雇用していたとする障害者約6900人の半数が水増し分でした。規定に反し、障害者手帳類を持たない軽い障害や、がんや糖尿病などの患者を障害者として数えていました。
 この問題の原因究明を任された第三者委員会が10月22日に報告書を公表しました。障害者の引き継ぎと称し、以前の名簿をそのまま利用していた国土交通省などは退職者、死亡者を雇用していました。国税庁は「うつ状態」「不安障害」と申告した人を「障害者」に数え、農林水産省などは視力0.1 以下なら「障害者」でした。
 11月2日の衆議院予算委員会でこの問題での質疑がありました。安倍首相は「20年近く放置されてきた問題で、申し訳なく思っている」と謝りましたが、「えっ、20年も前からなんだ」と改めてびっくりしました。不思議、不可解なのは、これほど大規模な国を挙げてのインチキがどうして20年も続けられたのか、です。発表しか書けないメディアのひどさはともかく、障害者団体も、雇用に苦慮している企業も、違反したとして罰金を払わされた企業も全く気づかなかったのだろうか、疑問です。
 議員は、手帳のない人も含めた実際の雇用者数では足りない分を、退職者やほかの病気の患者で補っている現実を「意図的なのは明らか」と批判しましたが、答弁に立った大臣はあくまで単純な間違いと思うと繰り返し、時間切れです。官僚の答弁、公文書の改ざんで政府のウソ体質はすでに明白とはいえ、だめ押しの感があります。
 省庁や自治体の一部はこれまで「自力で通勤でき、介護者なしで業務遂行可能」な障害者職員を募集していたとの報道もありました。エリートである官僚組織は、自分たちからはるかに縁遠い障害者のことはどうでもいいとの基本的認識だったと露顕しました。日本の障害者や難病対策が薄っぺらなのは当然です。