2018年12月26日

(286)強引な司法への批判は当然

 日産自動車のカルロス・ゴーン前会長関連のニュースが相次いでいます。逮捕された時は当然としても、12月21日の3回目の逮捕も世界を驚かせました。先進国から見ると、日本の司法権力はいろんな点で開発途上国や独裁国に近い、といわれますが、今回の逮捕がその印象を強めたことは否定できないでしょう。
 前会長が、2014年度までの5年分の報酬を過少記載したとの会社法違反容疑で逮捕されたのは11月19日でした。10日間の勾留延長2回の後、今度は17年度までの3年分の違反容疑で再逮捕、10日間の勾留延長がありました。東京地検はさらに10日間の勾留延長を求めたのに東京地裁が認めず、一時は保釈が確実視されていました。それを、前会長が自分の株取引の損害を日産に付け替えたとの新しい容疑で逮捕したという流れです。
 外国の状況に詳しくはありませんが、日本では逮捕者の身柄拘束期間は異常に長いといわれます。起訴までは原則最大20日と制限のある勾留期間も、別の容疑を加えれば延長可能。自白重視の日本は自白しない容疑者や被告人は長期拘束が当たり前になっています。女性への暴行を認めなかった鹿児島の男性は2年以上も勾留されていました。長期勾留で圧力をかけ、無理やり自白させることが、えん罪を増やしています。
 前会長の勾留請求を裁判所が認めなかったのは「極めて異例」だったとの報道でした。地裁は海外の反響を気にして慎重になったのでしょう。同じ司法試験仲間だからか、日本の裁判官は検察官にべったりで判決もほとんどが有罪です。国際的には裁判の原則は「疑わしきは罰せず」「疑わしきは被告人の利益に」とされていますが、日本では逆で、メディアも含めて「疑わしきは罰せよ」です。
 前会長の強欲ぶりはたしかに犯罪的で、日産幹部のクーデターは理解できます。背後には政府の支援もありそうです。しかし、日本の法律の多くは権力者は罰せられにくいように抜け穴だらけなので、会社法ではどうなのか、来年の裁判に注目です。さらに諸外国の批判も考慮し、長過ぎる勾留期間や待遇の改善、司法権力の適正化などを検討することも2019年以降の課題でしょう。