2019年1月8日

(287)妊婦加算の凍結は当然

 妊婦が医療機関を受診すると加算される「妊婦加算」が不評のため今年1月から凍結・再検討されています。昨年4月からの診療報酬の改定で、医科の診療科外来を受診した場合、妊婦は診察料が高くなりました。初診料、再診料ともで、額は通常の診療時間内、時間外で決められています。一般的には7割は保険から出るので窓口で支払う自己負担は3割ですが、診療時間内の初診は3割分で約230円、再診は約110円、最も高い深夜だと初診は約650円、再診は約510円、妊婦は余分に払わねばなりません。
 昨年秋ごろから妊婦加算に対する不満が高まるまで、私もこんな加算があることを知りませんでした。1回は100円、200円程度でも受診のたびですから別の病気を抱えている妊婦は大変です。12月14日、根本厚生労働大臣がとうとう「凍結」を発表しました。もともと加算を知らされていなかったらしい自民党の厚生労働部会が強く見直しを求めたことが大きな理由になっています。
 厚労省は胎児への影響に注意して薬を選ぶなど妊娠に配慮した診療が必要と考え、医療機関がそうしやすいように妊婦加算を新設したと説明しています。しかし、本当のところはどうでしょうか。
 診療報酬を論議・決定する中医協(中央社会保険医療協議会)段階でもとくに話題にならなかったのは厚労省が重視していなかったためです。昨年春の『朝日新聞』の「診療・介護報酬の改定」12回の連載記事にも妊婦加算は出ていません。コンタクトレンズの処方など関係ないような診療に加算されるのに、歯科の薬や治療は非加算なのはどう考えても不合理、不可解です。妊婦のため、を装いながら、おそらくは医療機関への支払い額を増やすためのつじつま合わせだったと思います。
 診療報酬も複雑化して、不可解な加算はいくつもあります。今回は特別なメリットが感じられないのに特定の人だけが高くなることが問題でした。「わずかな額」の話と、実施まで話題にもならなかったのは、官庁、中医協、そしてメディアが患者の気持ちから大きく離れていることの現れです。
 そもそも妊婦に配慮するのは医療としては当然で、厚労省が徹底を呼びかけ、無配慮な医療機関は保険から外す、などの罰則を課すのが効果的でしょう。